この「講座」は、@nifty「翻訳フォーラム・アドバンスメント館(FTRAN2)」の第13会議室「翻訳JOB応援会議室」にて連載されているものを、著作者の許可を得てウェブ上に転載したものです。

この「講座」内容に関連する質疑応答は、@nifty「翻訳フォーラム・アドバンスメント館(FTRAN2)」の第13会議室「翻訳JOB応援会議室」にて受け付けております。

講座内容についてのご質問がある方は、どうぞ、上記会議室においでください。

6.4 高付加価値化(続)

★HTMLファイルやrtfファイルの上書き翻訳

HTMLファイルやrtfファイルなどには、書式をコントロールする各種のタグ(本当は文書の形式によって呼び方が異なるのですが、簡単のためにここではすべてタグと呼びます)が埋め込まれています。これを翻訳する場合は、タグを訳文の対応する部分にコピーしなければなりません。たとえば、"<b>Bold</b>"→「<b>太字</b>」という具合です。つまり、翻訳作業と編集作業が不可分となっているわけです。このため、基本的に翻訳者が対応する必要があります。

このようなタグは非常に重要で、コピーし忘れたり、下手に書き換えてしまうと、修正のために大変な手間がかかることになります。十分に注意しないと、あとでクレームとなったりします。

rtfファイルは、Wordで開いて編集します。ふつうに開いただけでは書式設定された状態(太字とか上付、下付など)で表示され、どこにタグがあるのかわかりません。そのため、まず、「ツール」→「オプション」→「表示」タブの「編集記号の表示」欄で「すべて」にチェックを入れて「OK」をクリックします。これで、タグ(rtfでは「隠し文字」と呼ばれています)が表示されます。タグ以外の部分を翻訳し、上書き保存するわけです。

なお、Wordはバージョンによってファイル形式に微妙な違いがあります(ところどころ、大きな違いもあります^^;)。基本的には互換性があるんですが、その違いが問題となることもあります。Wordで作業をするときには、念のため、バージョンを確認しておいたほうがいいでしょう。

HTML系のタグが入っている場合、WordやHTMLエディタで開かないように注意します。ソフトが勝手にタグを書き換えたりするからです。ふつうのエディタで開くことをおすすめします。ただし、ふだんはふつうのエディタなのに、HTMLファイルを読み込むとHTMLエディタになるエディタソフトもあるので注意が必要です。

HTML系のファイルも、基本的にタグ以外が翻訳対象となります。ただし、一部、タグを書き換える場合もあります。このあたりは、翻訳時に指示があるはずです(タグはそのままコピー/〜については書き換え、など)。書き換えが指示された場合は、市販のHTMLレファレンスを調べて、なにをどう書き換える必要があるのか確認しましょう。

私は、タグのコピーを秀丸のマクロで行っています。同じものを訳文に打ち込んでもいいのですが、打ち間違ったりすると後がやっかいです。また、いちいち範囲選択してクリップボードコピー・ペーストを繰り返すのも面倒ですから。

訳し上がったファイルは、なるべく利用対象のアプリケーションで開いて、ちゃんと表示されることを確認しましょう。HTMLファイルなら、インターネットエクスプローラなどで開いて、オリジナルと訳文を見比べてみるわけです。

そうそう、上書き翻訳の場合、オリジナルのファイルを忘れずに保存しておきましょうね。私は、オリジナル用と翻訳されたファイル用のフォルダを別々に作って保存しています。

★提案

この項目で紹介したことなどを組み合わせ、発注元にとって一番いい方法を提案できるようになれば最高ですね。翻訳会社相手では不要な能力ですが、クライアントと直接取引をする場合にはとても有用です。

クライアントにメリットを与えることができれば、優先的に発注がもらえるようになります。また、単なる価格競争に巻き込まれず、高価格を維持できる可能性が高くなります。クライアントにとっても、自分にとってもメリットのある、いわゆるWIN-WINを目指しましょう!

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