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前号 翻訳生活レポート--ケモノ道

TRAN-SPA 第3号:1999年1月27日発行

テーマ:かかおの泉

翻訳生活レポート--ケモノ道 あみゅーず - お題拝借掲示板 翻訳者・くらしの便利手帖
となりは何を喰ふ人ぞ 翻訳フォーラム散策ガイド 編集後記

節分

濃厚に甘く強烈な Chocoholic の一夜

 二月といえばチョコレートの季節。チョコレートといえば「(1)買って食うもの」、「(2)もらうもの」のどっちになるかで、男の子の幸福は二派にわかれる。幸いにして、私はもらうクチである。もらったチョコレートを「(1)一人で食う」、「(2)二人で食う」のどっちになるかで、男の子の幸福はまた二派に分かれる。幸いにして、私は二人で食うクチである。二人でチョコレートを「(1)昼間に食う」か、「(2)深夜に食う」かで、男の子の幸福はまた二派に分かれる。幸いにして、私は夜中に食うクチである。チョコレートを食ってから何をするかによっても、幸福は様々に分岐する。私は、お仕事をすることになっている。

 なんでって、バレンタインデーは半月も先だし、せっせとチョコを仕入れてくる相方は、チョコよりむしろ中から出てくるエリマキトカゲのおもちゃがお目当てなのだ。私のほうは、生まれてこのかた、チョコレートは定番のエネルギー補給源である。成長期にもチョコレートに養われ、青年期にはチョコレートを行動食として山野を跋渉し、中年に至って、チョコレートを食糧武装の主軸に据えて徹夜仕事に従事している。

 血糖値の下がりやすい体質である。かつて病人を見舞いに行ったとき、医者が私の顔色をみてタダゴトではないと言い出し、種々様々な検査を受けさせたあげく、「飯を食いなさい」という診断を下さった。自分には根気がない、持久力がないと痛感することがある。どうしようもなく鬱になってしまうときもある。私の場合、そういうときは十中八九、たんに腹が減っているにすぎないのだが、その単純な事実に気づかずにある一定限度まで沈み込んでしまうと、ちょっと簡単には立ち直れなくなるものだ。そうなる前に、まとまった量の糖質をすみやかに補給すべし。脳にブドウ糖を流し込まねばならない。ただし、腹に溜まって眠くなる食品は避けたほうがいい。穏やかに刺激性のある天然活性成分を含有しているものが望ましい。ポリフェノールも入っていれば言うことなし。よって、チョコレートである。

 かくして私は、今夜もチョコを食って脳内血管にアドレナリンを分泌し、血走った白目をむいてお仕事を続けている。なにもそんなにしてまで頑張ることはないのだが、チョコレートは男の子を多幸にする。幸せになった男の子は、むしょうに働きたくなるように出来ている筈のものなのだ。

 というわけで、今年も男の子にチョコレートをあげてください。

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