この「講座」は、@nifty「翻訳フォーラム・アドバンスメント館(FTRAN2)」の第13会議室「翻訳JOB応援会議室」にて連載されているものを、著作者の許可を得てウェブ上に転載したものです。

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講座内容についてのご質問がある方は、どうぞ、上記会議室においでください。

4.1.3 電話、FAX、ポケベルなど

ここでは、加入電話とFAX、携帯電話(PHS)、ポケベルなど、翻訳会社と連絡をとるための機器と、連絡をとるための工夫について検討します。こういった製品はどんどん進化してしまうので、書くのはなかなか難しいのですが、ま、それは仕方ありませんね。

★加入電話

いまどき、電話がないひとはいませんね。しかも、ほとんどは留守電つきでしょう。それでまずは十分だと思います。

一人暮らしなど自分専用の電話なら、この電話機の転送機能を使うと、連絡が入ったときに外出中の自分に知らせることができます。この機能は、留守電が入ると、電話機に登録した電話番号に電話をかけ、一定の信号を送出することができるため、ポケベルを鳴らしたり、ポケベルにメッセージを表示させることができます。ちょっと荒っぽいですが、携帯電話にかけさせることもできます。適当な信号を送出させれば、携帯をとったときに「ピ、ポ」というような音がするはずなので、ともかく、何か留守電がはいったことは分かるでしょう。

留守電が入っていることが分かったら、外から留守電を聞きます(やり方は、電話機の取扱説明書をよく読んで調べてください)。で、必要なら、こちらから先方に電話をかけるわけです。

家人と共通の場合は、家人に協力してもらって連絡が入ったら教えてもらうか(この場合も、ポケベルなどを使う方がよい。会社には電話させないこと)、または、自分専用の番号をとって、上記の方法を使います。今は、ISDNとすれば、1契約で4番号までとることができます(同時に使えるのは、2回線まで)。付加番号の料金はかかりますが、あらたに1回線を契約するよりはずっと安くてすみます。

★FAX

これも必需品です。

最近は普通紙FAXが人気のようですが、家庭用普通紙FAXは受信できる枚数に制限がある、という点に注意する必要があります。家庭用普通紙FAXは、業務用と違い、受信時にはメモリ内に溜めておき、あとで人間が操作して印刷させるものがほとんどのようです。この場合、メモリ容量によりA4で10枚とか50枚とか、印刷せずに受信できる枚数に制限があります。大量の原稿を受信する可能性がある場合は、ロール型の感熱紙のタイプの方がいいかもしれません。

ロール型の感熱紙には、原稿が長期保存できないとか(退色してしまう)、鉛筆で書き込みができない、蛍光マーカーが使えないなどの欠点があります。値段の高い感熱紙(普通紙タイプの感熱紙)を使えば、この欠点はあまり気にならない程度になります。ただし、普通紙タイプの感熱紙の実売価格は、量販店で安売りされている安物の3倍くらいになったりもしますから、自分の用途に合わせて選択した方がいいでしょう。ちなみに、私は安物(A4、30mで260円)を使ってます。

いずれのタイプのFAXでも、電話としても使っている人が多いかもしれませんね。電話とFAXは自動切替になっていますか? なっていない人は、取扱説明書を読んで、自動切替にしておきましょう。会社に行っている間にFAXが受けられなければ、価値が半減してしまいますよ。自動切替では、電話をかけてきた人に必ず電話料金がかかる(まず、回線をつないでから電話かFAXかを判定する)ことになりますが、それは、仕方ありません。いやなら、ISDNでFAX専用番号をとりましょう。

自宅にデスクトップパソコンを置いている人は、せっかくパソコンとモデム、プリンタがあるんだから、パソコンをFAXがわりに使いたいと考えるかもしれません。しかし、これはあまりお勧めできません。肝心の時にパソコンが不安定になっていたりして、うまく受信できないというトラブルをけっこう耳にするからです。マシン1台をFAXサーバーとしてFAX専用に使うなら、多分大丈夫でしょうけど、それでは、かえって高くついてしまいます。

★携帯電話(PHS)

最近は、携帯電話がずいぶんと普及しましたね。すでに持っている人は、二足の仕事でも、その携帯電話を活用してください。まだ持っていない人は... 持つべきかどうか、悩むところでしょうね。

二足の草鞋における携帯電話の活用には、2つの面があります。

まずひとつは、連絡を受ける道具、という面です。会社の電話に翻訳会社から電話してもらうのは、もう、ぜったい避けるべきことですから、携帯電話にかけてもらう、ということになります。ただ問題は、仕事の途中、自分の携帯に出ることができるのかどうかです。「オフィス内では携帯の電源を切ること」としている企業もけっこうあったりしますし、そうでなくとも、オフィスの自席で携帯に出るのはまずいですね。

私は、バイブレータと留守電(携帯電話に録音するもの)をセットして、ズボンのポケットに入れていました。バイブレータで着信を知ったら、ちょっと席を立ってオフィスの外に行き、留守電を聞くわけです。外回りなんかで、自分一人の時なら、もちろん、着信したときに電話に出ます。ただ、女性の場合は、ものが入れられるようなポケットがないのでこの方法は難しいでしょう。

もうひとつの面は、こちらから連絡をするための道具、という面です。なにがしかの方法で、連絡が入ったことを知ったら、こちらから翻訳会社に連絡を入れる必要があります。自席から電話するのはまずいですから、会社の外に出て電話します。近くに公衆電話がたくさんあるならいいですが、ちょっと離れたところにしかないとか、数が少なくて待たなきゃならないとかいう場合には、携帯やPHSがあれば便利です。

・携帯かPHSか

連絡を受けるためにも使うなら、オフィスの中心部など電波の入りにくいところでも受信できる携帯がいいでしょう。こちらから連絡をいれるための道具としてしか使わないなら、どちらでもいいと思います。あとは、私生活でも使うでしょうから、そちらの条件で決めればいいでしょう。

★ポケベル

オフィス内で携帯への着信を知ることができない場合は、ポケベルが便利だと思います。

ポケベルは、バイブレータモードのある機種を使います。小さいものなら、女性でもポケットに入れられる可能性もあります。それが難しいなら、机の引き出しに入れておきます。振動時に音がしないように、ハンカチの上にでも置いておくのがいいでしょう。文房具などを入れた、一番よく開け閉めする引き出しに入れておけば、1日に何回も「自然に」ポケベルを確認することが可能です。

翻訳会社からポケベルを呼んでもらってもいいですし、上記のように、自宅に留守電が入ったら知らせるように電話を設定してもいいでしょう。

なお、ポケベルの電波は、机の中くらいは届くはずですが、ビルの構造やオフィスの場所など、他の条件次第では届かないこともあるかもしれません。必ず試験をしてみてくださいね。万一、机の中までは電波が届かないなら、机の上に出しておく私物(飾りものなどで金属製でないもの)の中に入れておくなど工夫してください。

★連絡方法を決める場合のポイント

一番のポイントは「会社の人たちに怪しまれないこと」です。そういう意味で、上記のポケベル利用が一番いいと私は思います。

「自宅の留守電を自席の電話から聞いても、何も話をしないんから分からないだろう」……確かに、翻訳をしているとは分からないでしょうね。でも、「どっかに電話しちゃぁ、だまぁ〜って、なんか聞いてる... あいつ、なにしてんの?」という話にはすぐになります。意外と目立つんですよ、そういうの。

じゃ、「会社の外の公衆電話から自宅に電話して確認すればいい」……これも、「しょっちゅう席を立って出て行くけど、あいつ、なにしてんの?」となります。

人と違う挙動は、極力避けましょう。安全代だと思えば、ポケベル代くらい、安いものだと思いますよ。

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