この「講座」は、@nifty「翻訳フォーラム・アドバンスメント館(FTRAN2)」の第13会議室「翻訳JOB応援会議室」にて連載されているものを、著作者の許可を得てウェブ上に転載したものです。

この「講座」内容に関連する質疑応答は、@nifty「翻訳フォーラム・アドバンスメント館(FTRAN2)」の第13会議室「翻訳JOB応援会議室」にて受け付けております。

講座内容についてのご質問がある方は、どうぞ、上記会議室においでください。

3.11 原稿の受領・送付の仕方

★原稿の受領

最近、原稿が電子データになっていて、メールで送られてくることも増えてきました。でも、まだまだ、紙原稿が主流だと思います(コンピューター関係は、電子データの方が多くなってきたとの話も聞いていますが)。

これをどうやって受け取るか... 特に二足の場合、けっこう大きな問題になることがあります。まさか、会社に送ってもらうわけにはいきません。自宅に宅配便で送ってもらっても、会社の仕事で昼間不在だと受け取れなかったりします。郵便なら郵便受けに入れてくれますが、発送元の翻訳会社は宅配便を使いたがります。納品原稿の送付は、だいたいメールですから、ほとんど問題にならないんですけどねぇ...

納期に余裕がない場合は、FAXで原稿を送ってもらいます。これは、二足でも専業でも同じです。ですから、自動切替のFAXは必需品です。

納期に余裕がある場合は、紙原稿を送ってもらいます。FAX原稿は読みにくくて能率が低下したり、読み間違ったりすることがあります。また、スキャナとOCRで処理する場合は、FAX原稿と紙原稿では、認識率が大きく違います。

宅配便は基本的に受領印が必要ですが、発送側で「不在時はポストへ」と書かれていれば、ポストに入れてくれます。A4原稿のはいった大きな宅配封筒が入る大きなポストである必要はありますが、この条件が満たされていれば有効な方法です。この場合、「不在時はポストへ」と書いてください、と受注時に「毎回」お願いします。特殊なやり方の場合、毎回お願いしないと、つい、忘れられてしまいますからね。

それがダメなら、あとは、郵送にしてもらう、という方法があります。郵便なら、基本的にそのままポストですからね。この場合、コーディネーターが「じゃ、郵送します」と言っても、宅配便で送られてしまう場合があるので、十分に注意しましょう。

どうして宅配便が多いか、というと、これは、発送側の手間が省けるからなんです。宅配便なら、オフィスにまとめて置いておくだけで持っていってくれるし、料金も宅配便屋が計算して、後でまとめて請求がきます。料金も、たくさん出す企業は割り引かれるので、それほど高いものにはなりません。対して郵便では、郵便局に出向くか、ひとつひとつ重さを計って料金を調べ、切手を貼らなければなりません。「え、たいしたことないじゃん」と思われるかもしれませんが、そうした「たいしたことない」部分を削って効率を上げなければ、企業なんてやってられないのです。

余談ですが、「不在時はポストへ」と書き忘れられてしまった場合は、宅配便屋とのネゴになります。以下は、私が何度か経験した会話です...

Buckeye 「ポストに入れておいてください」
宅配便屋 「いや〜、ハンコもらわないとダメです」
Buckeye 「先方が『ポストに』って書き忘れたんだからなんとかしてよ」
宅配便屋 「ハンコが無理なら、発送元に返送になりますが?」
Buckeye 「ハンコもらわなければ届けない、ということなら、どうぞ返送して ください。私からは、宅配便屋が頑固で原稿を届けてもらえなかったからこの仕事にアナがあく、損害は宅配便屋に請求してくれと、発送元に連絡しておきますよ」
宅配便屋 「……郵便受けは大きいんですか?」
Buckeye 「はい」
宅配便屋 「じゃ、入れときます……」

あんまり気分のいい会話じゃありませんが、このくらい強く出ないと難しいようです。宅配便屋としては、ハンコもらってないと、後でクレームが発生したときに困る、という事情がありますからね。

ポストに、「宅配便はポストへ」という紙を貼っておいてもらえれば、と宅配便屋に言われることもありますが、この方法はお勧めしません。「現在、不在です」と公にするようなもので、空き巣でもはいったら大変ですからね。「空き巣が入ったら、お宅が責任取ってくれますね」と念押しすれば、宅配便屋も紙を貼れとは言わないでしょう。

★訳文の送付

訳文は、メールで納品することが多くなっています。翻訳会社へは、ニフティのバイナリメールで送ることが多いと思いますが、最近は、インターネットの添付メールで送ることもあります。まだやったことがない、という人は、試験として自分宛に送ってみましょう。

実際のやりかたは、使用する通信ソフトによっても違いますから、それぞれのソフトのマニュアルを参照してください。モデムやパソコンについてきた通信ソフトを使っていて、使い方がどうもよく分からない場合は... 他のソフトを使ってみる、という手もあります。使いやすい高機能ソフトにかえると、通信上の悩みが一挙に解決したりするモノです。

どれがいいかは... これはけっこう変遷しますから、ここで実際の名前を挙げるのはやめておきましょう。翻訳フォーラムなどでも折々話題になりますから、チェックしてみてください。パソコン雑誌などで特集が組まれることもよくあります。大勢が使っているということは、なにかいい点があるからですし、また、身の回りにユーザが多ければ、使い方を聞くこともできます。

傾向としては、シェアウェアにいいものが多いようです。翻訳と同じでソフトも、最後は「誰が作ったか」で性能が決まりますから、大手の会社がいいとはかぎらないのです(笑)。

最近は、FTPで先方のサイトにアップするという場合もまれですがあります。フリーウェアでいいFTPソフトがありますから、コンピューター雑誌の付録CD-ROMなどをチェックしてみてください。ただ、FTPの場合、練習しにくいという難点がありますね(自分のウェブサイトを持てば、そこで練習することができます)。まあ、FTPしか受け付けないというところはまずありませんから、必要になったらトライする、というくらいのつもりでもいいでしょう。

★圧縮・解凍

テキストデータやワープロのファイルは、圧縮して送ったり送られてきたりすることがあります。ファイルのサイズが小さくなるので、通信時間やコストを削減することができます。また、受け手側のメールボックスに容量制限があると、ちょっとしたワードファイルでも容量オーバーではじかれたりします。そういう場合にも有効です。

ただ、翻訳会社は意外とローテクで、ファイルの圧縮解凍に対応していない場合もあります。中には、「圧縮して納品」という翻訳会社もあるらしいですが、私は今まで、すべて圧縮なしで送っています。圧縮したら翻訳会社がパニックになるかどうかは確かめていませんが、「テキスト納品で」とだけ言われているので、念のため、圧縮しないことにしています(^^;)

まあ、すぐに必要というモノではないかもしれませんが、他でも使うことが多いので(たとえば、翻訳フォーラムの過去ログなどもlha圧縮されている)、手に入れておいて損はありません。

ところで、圧縮解凍は、形式がいくつかあります。日本では、「.lzh」という拡張子がつくlhaがよく使われていますし、世界的には、「.zip」という拡張子がつくZIPが多いようです。

入手方法ですが、一番簡単なのは、パソコン雑誌を1冊買ってくることでしょう。パソコン雑誌は、たいてい付録CD-ROMがついており、いろいろな便利ソフトがlha圧縮された形で納められています。ですから、解凍ソフトもついていますし、そのインストールの仕方なども説明されています。(どうせなら、上記の通信ソフトも納められたものを買ってくるのがベターですね。)もちろん、ニフティのWindows系、Mac系のフォーラムからダウンロードすることも可能です。Windows系のものは、翻訳フォーラムのデータライブラリにも、定番ソフトとして登録されています。(nifty:FTRAN1/DL/10/11)

インストールしたら、テスト用のフォルダを作り、そこで適当なファイルを使って圧縮解凍の練習をしておきましょう。そうでないと、いざというときにあわてることになりますよ。

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