この「講座」は、@nifty「翻訳フォーラム・アドバンスメント館(FTRAN2)」の第13会議室「翻訳JOB応援会議室」にて連載されているものを、著作者の許可を得てウェブ上に転載したものです。

この「講座」内容に関連する質疑応答は、@nifty「翻訳フォーラム・アドバンスメント館(FTRAN2)」の第13会議室「翻訳JOB応援会議室」にて受け付けております。

講座内容についてのご質問がある方は、どうぞ、上記会議室においでください。

2.3 翻訳に対する姿勢

二足の草鞋って、会社の仕事もやらなきゃならないから、時間のやりくり、けっこう大変ですよね。翌朝一番の締め切りがあるのに、いきなり、「オイ、今日の夜、取引先と飲むから来い」と言われ、ベロンベロンに酔っぱらって、真夜中過ぎにタクシーで帰宅することになるかも知れません(経験者は語る^^;)。

でも、発注側は、そんなこと知ったことではありません。納期には仕上がった訳文が納品されると思っています。

二足の草鞋で専業より時間制約がきついから、会社で突発事態があったから……そういう言い訳が出てしまったら、仕事はもらえなくなると考えるべきだと、私は思います。だって、逆の立場で考えてみてください。二足の草鞋だから不安定だと言われたら、専業で安定して仕事をしてくれる人に優先的に仕事を回したくなるでしょう? そうでなくとも、二足の草鞋の場合、処理量が少な目で使いにくいんだから……

翻訳の仕事を受注し、処理し、納品するというプロセスに、兼業・専業の別はありません。二足の草鞋といえど、プロとして仕事をする以上、専業翻訳者と同じ心がけが必要です。発注側もビジネスでやっているのです。甘えは禁物です。

だからといって、何でも発注側の要求を飲んで、無理をしろというわけではありません。できることとできないことを最初にはっきりさせ、やると言ったことはやる、ということです。そして、やる以上、専業翻訳者と同等の品質で仕上げる、ということです。

できないことの中には「二足の草鞋だからできない」こともあるはずですし、そのために仕事が取れないことも、当然、あるでしょう。これは、条件が合わないためにビジネスが成立しなかったということであり、甘えているのとは違います。ただし、そのために仕事量が漸減していくようなら、無理を無理でなくする工夫をするか、自分の条件に合う受注先を探す努力が必要です。

処理量が少なめなのは、時間がとれない二足の草鞋の宿命です。ですから「処理量は少ないけど、あの人は信頼できる(いい訳文を作ってくれる)から……」とかなんとか、翻訳会社のコーディネーター諸氏に思ってもらえるよう、むしろ専業翻訳者以上の努力が必要なのではないかと思います。

この項目の最後として、兼業・専業に関わらず、翻訳の仕事を行う際に、最低限行うべきことをまとめておきます。他にも、やった方がベターなことはアレコレあるかも知れませんが、まあ、このくらいのことをしておけば、問題が発生する可能性は低いと思います。

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